GURPS「神父と三人の野伏」
GURPSは、スティーブ・ジャクソン・ゲームズ社の制作物です。
記録にはその内容を含みます。
一人の男が野道を歩いている。
きらめく髪は黄金の糸、降り注ぐ月明かりを含んで輝かんばかりの白い肌、彫像のように整った美しい顔立ち。
だが、その冷たい双眸には、払えない傲岸さが宿っていた——
念願のGURPSのGMを完走してきました!
GURPSのことを語っていたら「箱庭双世」と「エモクロア」を何度も遊んだPLさんにお声がけいただいて、やりましょうすぐやりましょうほれはやくやれ早くくらいのテンションでセッションへ突入しました。
GURPSといえばありとあらゆる世界設定で遊べることでおなじみの汎用TRPGなのですが、今回の舞台は「箱庭双世」で作り上げた世界なので特にサプリメント等は使わない運びとなりました。
世界の名前は「清渓島」。TL3~4程度、群雄割拠の小国で戦が繰り返されている和風の世界。魔法使いも妖怪も神様もどこかにいるかもしれませんが、一般的ではないようです。
今回のPCは、「美しい容貌」「カリスマ」を取りつつも精神的な特徴「高慢」「自信過剰」などでボロが出れば出るほど反応修正が下がっていく、いかにもガープスらしいキャラクターになってしまったカブラル神父。得物は鞭、〈神学〉や〈外交〉を学んでいるので教会内での政治は上々、従軍経験から〈指揮〉を持っているという、よく考えたらガープスらしさはあるけど一般的なTRPGのPCとしてはかなか稀有な構成になりました。
先の戦で手痛い敗戦を喫した「陣馬の国」の主、甚五郎が教会を直々に頼ってきます。敗戦を機に3人の将が陣馬の国を出奔し、人々を脅かす「野伏」となって周囲を荒らしまわっているというものです。
野伏たちがただ暴れるだけであればまだよかったのですが、問題は凶悪な荒武者だらけの自治領「伊那布領」がすぐそばにあること。陣馬の国の将が伊那布領に踏み込んで荒らしたとなれば、陣馬の国の民は皆殺しの憂き目に遭うかもしれません。弱体化した陣馬の国には縦横無尽に暴れる野伏たちへ手を打つだけの余力はなく、数々の冒険を生き延びた歴戦の神父に頼る他なかったのです。
三人の将はいずれ劣らぬ強者・曲者揃い。ただ戦うだけなら神父に勝ち目はありません。使える技能、特徴、関わる人々全てに頼って、強大な敵たちに立ち向かっていきます。
一人目は、大武辺者「松露の氏太郎」。 兵を率いて馬を駆り、野原を走り回る、いかにも武者らしい武者です。馬術に優れ、馬上での戦いにも秀でている彼らと衝突してはひとたまりもありません。
カブラル神父は顔なじみの忍者、木枯と共に知恵を絞り、〈生存/平原〉を持っている彼女の力を借りて周囲の地形を把握して、罠を仕掛けることにします。「高い位置から錘をつけた頑丈な網を落とす」という、単純ながら騎馬隊には確かに有効そうな方法です。
網を調達するためにクジラ漁の漁師をせっつき、たまたま嘘八百を垂れ流す性格になってしまった漁師を〈脅迫〉で威圧しながらなんとか網を手に入れることに成功。〈指揮〉を使って甚五郎の配下の騎馬武者を動かし、野伏たちを引きつけて巨大な網の下に見事に捕らえることに成功しました。
二人目は、残酷な無法者「梅木の左門」。手下と共に女郎屋になだれ込んで騒いでいる左門を取り押さえるために一計を案じたカブラル神父は、遊女に扮して宴会に入り込み、彼に近づきます。痺れ薬を用いた作戦は間一髪でうまくいかず、鞭を手にして戦うことになった神父は、「サイズ」による攻撃で大ダメージを負い失神。なんと、左門の一派に攫われてしまいます。
左門は神父に「伊那布領の姫と決闘したいから、手を打ってほしい」と持ち掛けます。そう、彼は荒武者たちの自治領「伊那布領」の当主の子だったのです。姉との決闘に敗れた左門は国から追放され、彷徨っていたところを陣馬の国に拾われたのでした。
カブラル神父は伊那布領の凶悪な荒武者たちを何とか作戦勝ちでいなし、落ち着いて交渉ができる状態まで持っていきます。
左門は伊那布領の姫と対決し……そして、恐るべきことが分かりました。
「誰じゃ、こいつは?」
伊那布領の姫に、左門のような弟はいない。
そう、左門を出奔まで突き動かした「自分は伊那布領の跡継ぎだった」という記憶。
それは全て、誰かに植え付けられた出鱈目のものだったのです。
全ては三人目の野伏、異能を持つ僧侶 「竹善」の仕業。
カブラル神父はその恐るべき異能を突き止めるため、かつて竹善が修行したとされる「嶮山宗」の総本山へと乗り込み、僧侶との神学論争にて己の宗教者たる一念を示そうとしますが……
出目が悪かったものは仕方ない。
それでも可能な限りの情報を集めるうちに、竹善も行動を起こしています。なんとかつてカブラル神父が助力を得たあの漁村の人々を操り、寺院に立てこもっていたのです。
建物に忍び込むとなれば忍者の出番。カブラル神父は忍者の木枯と共に、異能が支配し妖しの気が漂う寺院へ踏み込みました——
最初に用意してきたシナリオはごく簡単なものだったんですが、GURPSというシステムの堅牢さと、PCのブレなさ(GURPSではこれが本当に大事)のおかげで、豊かで壮大な物語になっていきました。
基本的にどのシステムでも素晴らしいロールプレイをされるPLさんでしたが、GURPSのプレイングがね、素晴らしかったですね……本当にいいものを見せていただきました。